『LISTEN』について
はじめに
「ちゃんと人の話を聴く」こと。それは誰にでもできるようで、意外と難しいことかもしれません。学校や家庭で、気づかないうちに自分の話ばかりしてしまうこと、ありますよね?そんな時にこそ思い出したいのが「傾聴」の力です。
『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』(ケイト・マーフィー著)は、「聴くこと」の本当の意味や、その驚くべき力について教えてくれる一冊。本記事では、この本をもとに「聴く力」の本質や身近な実践法を紹介します。
聴くことは頭と心を育てるスキル
『LISTEN』では、「聴くことは受け身ではなく、自ら鍛えるスキルだ」と何度も繰り返されます。友達の話をしっかり聞くことで、相手の考えを深く理解できるだけでなく、自分の思考も豊かになります。人の話を受け止めることで、視野が広がり、アイデアや創造力も刺激されるのです。
つまり、聴くことは「考える力」「感じる力」の両方を高めてくれる、すごいスキル。まさに一生ものの力です。
なぜ私たちは話を聴けなくなっているのか?
スマホやSNSが当たり前の現代。たくさんの情報が飛び交う中で、誰かの話に100%集中するのが難しくなっていませんか?
例えば、友達と話している最中にスマホの通知が気になったり、LINEを見ながら話を聴いてしまったり。そんな時、相手は「ちゃんと聴いてもらえていない」と感じてしまうかもしれません。
「話を聴いてもらえない経験」が積み重なると、人間関係はどんどん希薄になります。だからこそ、今の時代にこそ「聴く力」を取り戻すことが、とても大切なのです。
「本当に聴く」ってどういうことか?
ただ静かに聴いているだけでは、傾聴とは言えません。大切なのは、「この人は何を感じているのか?」「なぜこの話をするのか?」という、相手の内面に興味を持つこと。
本書では、自分の意見や先入観を脇に置き、相手の言葉や気持ちに心を開くことが「真の傾聴」だと語られています。表情や声のトーン、間の取り方など、言葉以外の部分にも意識を向けてみましょう。そうすることで、これまで見えていなかった大切な気づきが得られるかもしれません。
聴くことは学ぶこと、そして成長のチャンス
『LISTEN』の中で最も強く伝えられるのが、「聴くこと=学ぶこと」という考えです。
たとえば、普段あまり話さない知り合いの話にじっくり耳を傾けることで、今まで知らなかった価値観や考え方に出会うことがあります。その小さな発見が、自分自身の成長や視野の広がりにつながるのです。
さらに、聴いてもらえた側にも変化があります。「ちゃんと話を聴いてもらえた」と感じることで、安心したり、考えを整理できたり、自信を持てるようになるのです。聴くことは、相手と自分の両方に良い影響をもたらします。
すぐに使える!聴く力の5つのコツ
本書では、日常の会話ですぐに活かせる「聴き方のコツ」が紹介されています。
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「どう思う?」とやさしく問いかけてみる
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相手が考えている間、焦らず沈黙を受け入れる
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表情や声の調子から感情を読み取る
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「次に何を言おう」と考えるよりも、今に集中する
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「なんで?」と詰めるより、「それってどういうこと?」と深堀りする
これらを意識するだけで、会話の雰囲気がガラリと変わります。大切なのは「うまく聴く」よりも「本気で理解したい」と思う気持ちです。
聴く力がもたらす人間関係の変化
「聴く力」は、人間関係をぐっと良くする力があります。どんな相手でも「ちゃんと話を聴いてもらえた」と感じると、安心感と信頼感が生まれます。
家族の会話でも、ただ話をさえぎらずに聴いてもらえた経験があると、それだけで「わかってもらえた」と感じますよね。
逆に、話を聴いてもらえないと、小さな不満や誤解が大きなトラブルに発展することもあります。だからこそ、「聴く」という行為は、人とつながるうえでとても大切なのです。
聴き方より「聴く心」が大事
『LISTEN』の中で何度も語られるのが、「テクニックよりも心構えが大切」ということです。
どんなに上手に相づちを打っても、心から相手に興味を持っていなければ、その気持ちは伝わりません。でも、たとえぎこちなくても、「本当に知りたい」「理解したい」という気持ちがあれば、それは必ず伝わります。
だからこそ、まずは「聴いてみたい」と思う気持ちが出発点。その心構えこそが、最高の傾聴力につながるのです。
聴き方をほんの少し変えるだけで、相手との距離が縮まったり、会話が楽しくなったり。そんな実例が多く紹介されています。
『LISTEN』は何が違う?他の本との違い
「聴くこと」について書かれた本はたくさんあります。
たとえば、阿川佐和子さんの『聞く力』は、著者の経験談を中心に、誰でも読みやすく書かれた本です。日常の中で使えるエピソードが多く、親しみやすい内容が魅力です。
一方『LISTEN』は、アメリカを中心に世界中の研究者や専門家へのインタビューをもとに構成され、科学的かつ深い分析が特徴です。また、デール・カーネギーの『人を動かす』が「人に好かれるための聴き方」に重きを置いているのに対し、『LISTEN』は「人を理解し、つながるための聴き方」に焦点を当てています。
つまり、『LISTEN』は「相手を操作する聴き方」ではなく、「相手を大切にする聴き方」を教えてくれるのです。
まとめ
『LISTEN』を読むことで、「聴くこと」の本当の意味に気づかされます。とはいえ、すべてを一度に完璧に実践する必要はありません。
まずは、スマホを置いて目の前の人の話を最後まで聴いてみること。それだけで、会話の空気が変わり、相手との距離がぐっと近づきます。
「聴く力」は、人とのつながりを深めるだけでなく、自分の内面も豊かにしてくれる、一生使える大切なスキル。今日から少しずつ、あなたも「聴く人」になってみませんか?
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