【要約・書評】ロジカルシンキングの限界を超える!『シン・ロジカルシンキング』が示す未来の思考型

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『シン・ロジカルシンキング』について

はじめに

『シン・ロジカルシンキング』(望月安迪著)は、従来のロジカルシンキングを超えて、“問いを立てる力”と“ひらめき”を重視した新時代の思考法を提案する一冊です。AI時代を生き抜くために、人間ならではの「考える力」をどう磨くべきかを教えてくれます。

ロジカルシンキングを学び始めると、多くの人が「いつも同じような結論に至ってしまう」「どこかで見たような答えしか出てこない」と感じることがあります。それは、従来の思考の型が一定の成果を出せても、発想の幅を制限してしまう側面があるからです。特にフレームワークに頼りすぎると、他の人と似たような思考パターンになりやすく、オリジナリティのあるアイデアが生まれにくくなります。だからこそ、今の時代に合った新しい思考法が必要なのです。「新しいロジカルシンキング」はその限界を突破し、より深く、広く考えるための新たな型を私たちに提供してくれます。

 

論証と発見のバランスを取る思考法

従来のロジカルシンキングでは、事実に基づいて論理的に結論を導くことが目的でした。しかし現代社会では、「どんな問いを立てるか」「どのように物事を捉えるか」といった“発見”のプロセスもますます重要になっています。「新しいロジカルシンキング」では、既存の情報や常識にとらわれず、新しい視点を見つけ出し、それを論理的に組み立てていくという双方向の思考を重視します。発見と論証をバランスよく行き来するこのスタイルは、正解が一つに定まらない複雑な時代に適した考え方です。

 

QADIサイクルとは何か

この思考法の中心にあるのがQADIサイクルです。Q(Question:問い)→A(Abduction:仮説)→D(Deduction:示唆)→I(Induction:結論)の4つのステップを順にたどりながら、思考を段階的に深めていきます。たとえば、ある問題について「本当に問うべきことは何か?」と問い直し、そこから自由に仮説を立てます。その仮説が正しいと仮定して、どんなことが言えるかを演繹的に展開し、最後に具体的な情報や事例を通じて結論に導くという流れです。このプロセスは一度で終わるのではなく、問いを再設定し、仮説を更新することで思考を洗練させていく点に特徴があります。

 

良い問いが良い思考をつくる

「どうすればテストの点が上がるか?」という問いと、「なぜ今の勉強方法では集中できないのか?」という問いでは、導き出される答えがまったく異なります。前者は表面的な改善にとどまりがちですが、後者は本質的な原因を探る問いです。質の高い問いは、それだけで思考の深さや広がりを生み出します。「新しいロジカルシンキング」では、問いの質こそが思考の質を決定づけると考えます。問いが明確で本質的であるほど、情報やアイデアが自然に引き寄せられるようになり、深い思考が可能になるのです。

 

論理と共感の融合が人を動かす

論理的に正しいだけでは、人の心を動かすことはできません。相手に納得してもらうためには、相手の立場や感情に配慮した共感力が必要です。たとえば、「この商品はデータ上最も効率的です」と説明するよりも、「この商品は、毎日忙しい学生が時間を節約するために最適です」と語った方が、聞き手にとって身近に感じられるものです。論理に共感を織り交ぜることで、説得力は大きく高まります。「新しいロジカルシンキング」では、ロジックと情理の両面から相手にアプローチすることが重視されます。

 

ひらめきと検証を繰り返す楽しさ

「なかなか答えが出ない」「アイデアが思い浮かばない」と悩むことはよくあります。そんなときは、問いを変えてみたり、少し突飛な仮説を立て直したりしてみるのが有効です。QADIサイクルでは、行き詰まりさえも新たな発見のきっかけと捉えます。発想と検証を繰り返す中で、曖昧だった考えが次第に形を帯び、やがて納得できる結論に至ります。このプロセスは知的な刺激に満ちており、思考すること自体が楽しくなっていきます。

 

フレームワークに縛られすぎない

3C分析やロジックツリーなど、ビジネスで使われるフレームワークは非常に便利です。しかし、それだけに依存してしまうと、自分自身の視点や問いを持つ力が育ちにくくなります。フレームワークはあくまで思考の補助線にすぎず、本質的に重要なのは、自分の課題に合わせて柔軟に視点を変え、問いを立て直す力です。「新しいロジカルシンキング」では、フレームワークを超えて、自らの思考構造を創り出す力が求められます。

 

思考の型を身につけるには反復練習を

どれほど優れた思考法であっても、読んだだけで使いこなせるようにはなりません。QADIサイクルも同様です。まずは基本の型に忠実に従い、何度も繰り返し使ってみることが重要です。そして慣れてきたら応用を加え、自分に合った形にカスタマイズしていきましょう。たとえば、ゼミの発表やレポートでQADIの流れを意識するだけでも、思考の質は大きく向上します。最初は難しく感じても、繰り返すことで自然と身についていきます。

 

おわりに

「新しいロジカルシンキング」は、AIにはできない、人間ならではの「問いを立てる力」や「共感する力」を活かすための思考法です。QADIサイクルを意識しながら思考を進めることで、複雑な問題にも柔軟に対応できる力が養われます。このサイクルを学びや会話、研究や就職活動など、さまざまな場面で活用すれば、あなたの思考力は確実に鍛えられていくでしょう。まずは一つの問いからで構いません。ぜひ、QADIサイクルを日常の中に取り入れ、考えることの楽しさと可能性を体感してみてください。

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